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2001年夏・輪島リポート

2001年7月にぬりもの屋japanの店主が輪島を訪問した際のリポートです。

石川県輪島市は能登半島の先端近くにある、輪島塗と漁業と観光の町です。最近、輪島駅までの鉄道が廃線になり、県外から輪島に行くには金沢から高速バスで行く(東京からは羽田->小松->金沢->輪島)のがポピュラーな方法となりました。 赤字の事業を国や県が保護しない厳しい姿勢をそこに感じます。輪島塗も例外ではないでしょう。長い間、輪島市を支えてきた輪島塗が従来の加飾を施せば施すほど高価であればある程買い手が喜んだ時代と決別しなくてはいけないような岐路に立っています。その中で、今回取材した作り手たちはその事実を淡々と受け入れ、時代の要求をみたすモノ作りに挑んでいるように感じました。(2003年能登空港開港予定。)

そんな彼らのもとには、純粋にモノ作りがしたいという弟子志願の若者が多く訪れています。その若者たちも、根性の座ったなかなかの風体の面々です。厳しさに淡々と立ち向かう作り手そしてその弟子の若者たちとの出会いを通して、その商品の価値をしっかり伝えなければいけない、そんな責任を感じた今回の輪島の旅でした。

この輪島旅行をサポートして下さいました、輪島の若手作家が中心となって作ったギャラリーわいちのメンバーに心から御礼を申し上げます。

(1)木取り〜木地作り

●輪島の椀木地師 高田晴之さんの工房

職人さんは、工房の道具すべてを自分で作る人が多いですが、高田さんは見事にすべてを作っています。薫煙乾燥室、鉄(カンナ)を燻す溶炉、カンナ(3番目の画像)などありとあらゆるものを自分で揃えています。


●縦木取り、横木取り

縦木(竪木)取り、横木取りを説明するために、高田さんが作ったもの。画面左側が縦木取りのお椀用。右側が横木取りのお椀用。

縦木取りは基本的に木目が縦に入ることになり、横木取りは木目が横に入ることになります。しかし、お椀の形との兼ね合いで、ろくろを使って木にカンナを入れていく過程では、木が柾目になっていたり、逆目になっていたりするのでそこに熟練の技能が必要になる訳です。

木は、原木を秋(成長が止まる時期)に切り、山で1年、里で1年自然乾燥させます。その後、荒木取り(次の画像よりもっと荒く削ってある状態)の状態にして薫煙を1ケ月行います。薫煙乾燥室から取り出した木型は、数ヶ月積み重ねておき、古いものから順に仕上げていきます。

なぜ、薫煙をするかについては、(防虫効果もあると言われますが)、薫煙によって木の含水率を強制的に下げ限界まで歪ませます。

1ケ月後、薫煙室から出した木型は再び含水率が少し戻るので、そのまま数ヶ月積み重ねて自然乾燥させます。


●荒木取り

木は内側に反ろうとするので、縦木取りのお椀は内側に反る傾向があ、横木取りのお椀はだらーんと横に広がる傾向があります。それを極力抑えるのが、十分な乾燥であるわけです。

ろくろでカンナをあてて木を削る時に重要なことはひたすら、木目に正直にカンナを当てることだそうです。

ただし、木はいくら乾燥しても厚みのある状態で放置すると、耐え切れないで割れるそうです。そのため、時期を見て薄くしておかなくてはいけません。しかし、早く薄くしてしまうと、今度は歪んでしまうかもしれません。その頃合を見計らうのが難しいところのようです。


●カンナ

自作の溶炉で作ったカンナの一部。カンナは使ううちに摩滅するので定期的に新しいカンナを作る必要があります。木目に逆らわないで、しかも、構想通りの造形を作るためにはカンナはいくつあっても足りないようです。

尚、このカンナは椀木地師のものですが、朴木地師(重箱などの木地師)の場合は大工さんの持っているようなカンナが100種類以上あります。木の性質を活かすためにも人間の英知が必要なんですね。


●高田晴之さん

高田さんは、赤木明登さん(塗師)の椀木地を多く作っておられます。赤木さんは最近、紙のように薄い椀木地(天廣椀シリーズ)に凝っていらっしゃいますが、その木地は高田さんが作っています。紙のように薄いお椀を作るということは、カンナの入れ方がちょっと間違っても穴があいてしまう世界です。赤木さんは、高田さんはいじめ甲斐があるかのようにおっしゃいますが、それは、際立った技術力があるということに他なりません。

また、高田さんは最近では塗りも手がけていらっしゃいます。淡々と木と漆の世界に挑んでいるかのようです。


「(2)塗りの世界」